とまとのゲイSM小説 (とまと)
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先輩の首輪を握った日 #0-1







価格
0円(税込)
商品について
他人が決して踏み込めない、ふたりだけの完成された世界。
光を放つ無邪気な太陽の隣で、冷徹な影が静かに牙を剥く――。
【作品スペック】
・形式:PDFファイル(白背景、黒文字)
・総文字数:約5,500文字
・登場するキャラクターは全員18歳以上(高校生を除く)です。
【試し読み】*約1,200字
第1章の完結――物語は数年前、和伸と隼人の過去の物語へ。ふたりを繋ぐ歪な絆の記録。第2章へと繋がる二人の物語。(第1章の後のご購入がお薦めです)
——こくてん【黒点】
太陽の光球表面に見られる黒い斑点。周囲より温度が約2,000度低いために黒く見えるが、強力な磁場を持ち、太陽活動の激しい領域である。
広辞苑より——
周囲が眩しすぎるから、黒く見えるのだという。
本当はそれ自体も十分に熱を持っているのに、隣にある途方もない光のせいで、冷たく凍りついた「影」のように錯覚されるらしい。その定義を理科の教科書で見かけた時、俺は自分の股間にある小さな印と、いつも隣で屈託なく笑うあいつの顔を思い浮かべていた。
あいつは、俺にとっていつも太陽だった。そして俺は、その眩しすぎる光の真ん中に張り付いた、誰にも見えない絶対零度の黒点だ。
——『ねー、カズー、それ俺のエビフライだろー』
隼人がリスみたいに頬を膨らませ、箸先で俺の取り皿を指して声を上げた。テーブルの中央に置かれた大皿から、俺が真っ先に箸を伸ばして口に運ぼうとしたエビフライ。
「え、そんなん名前書いてないじゃんか」
『見りゃ分かんだろ! 俺がさっきから狙ってたって』
「んなの知らないよ。隼人がスマホいじってたのが悪いだろー」
俺はかーちゃん特製のタルタルソースをたっぷり絡めて口へ放り込む。プリッとしたエビの弾力と香ばしい衣の味が口いっぱいに広がり、わざとらしく隼人の顔に近づき、目の前で「んまー」と呟いてみせた。
『あー! 食いやがった! ねー、かーちゃん、カズが俺の食べようとしてた、おっきいエビフライをさー』
『おぃ、おっきいって……』
小学生みたいな隼人の言いつけ方に、とーちゃんが吹き出すと、テーブルの向かいで缶ビールをプシュッと開けたとーちゃんが、喉を鳴らして笑った。
『どーせ、ぼやぼやしてたんでしょ。隼人。今おかわり揚げてるんだから、もうちょっと待ちなさいよ。あんたたち二人とも、エビフライ何本食えば気が済むのよ』
油のパチパチという軽快な音とともに、かーちゃんが呆れたような声でバットに新しいエビフライを並べる。
背中越しに飛んでくるかーちゃんの声には、怒りというより温かい呆れが含まれていて、リビングには揚げ物の熱気と家族の笑い声が満ちていた。
今週末は、隼人の家にいた。
部活帰りに家の最寄駅西口の階段を下り、そのまま隼人の家の玄関をガラガラと開ける。「お邪魔しまーす」と言う前に、前にいた隼人が靴を脱ぎ散らかして廊下を駆け上がり、俺も同じように一緒に上がり込む。
同じ駅を最寄りにしながら、隼人は西口、俺は東口。改札を出れば左右に別れるはずの境界線は、週末になればこうして跡形もなく消え去っていた。
父親同士が昔のサッカー仲間で、母親たちも家族ぐるみの付き合い。
俺が隼人の親を呼ぶときは「とーちゃん」「かーちゃん」で、隼人がうちの親を呼ぶときは「おとん」「おかん」。互いの親を自分の親と同じように呼ぶのは、物心ついた頃からの当たり前だった。
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