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小説【けれども、蟒姫に云わせれば「そんなモノは朝飯前よ」である。】
価格
300円(税込)
商品について
【けれども、蟒姫に云わせれば「そんなモノは朝飯前よ」である。】
※10500文字程度(26ページ)の掌編小説です。
家の斜め向かいには、武家屋敷が建っている。
人に聞いたところでは、それは先の大戦の戦火を受けて、辺りが焼け野原になっても尚、変わらずそこに在ったという話である。
そこには、美しい娘が居るのだが、肌の色は蒼白く病弱そうに見える。
娘は小食であるそうで、それが故、あのような華奢で血色の悪い姿をしているのだそうだ。
容姿が良いというのに、勿体無い話である。
脛くらいまで伸ばした長い黑髪が、白地に赤い花柄の着物姿との絶妙なコントラストを生み出している。
ある日の事。向かいの屋敷の縁側で、苦しそうに藻掻いている娘の姿を見掛けた。
すると、奥から出てきた母親であろう女が、娘に数枚の草を手渡すのが見えた。
それを娘は、何の躊躇いもなく喰らった。
すると、あれ程苦しそうにしていた娘の苦悶の表情は、次第に穏やかに成っていった。
あの草は、一体何だったのか不思議である。
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