●物語

幼なじみの柚姫（ゆうき）と水姫（みずき）。
女同士だったが、二人はまるで兄妹のように育った。彼女たちが生まれたのは、女だけしかいない部族なのだ。

いつからそうなったのかは誰も憶えていない。
人は減り、世界は緩やかに退行し、彼女たちの部族は、種としての長い残響の日々を過ごすのだった。

だが絶滅までには、まだ少し時間は残されている。細々とではあるが、生命のリレーは続いていた。
柚姫はその秘密を知り、密かに水姫に教える。

──族長の来姫（らいき）の股間から、たくましくそそり立つペニス。

来姫の性器が若い女を貫いていた。
一族でただ一人だけが両性具有へと変態し、族長となり、すべての女に種を植え付ける。そうやって彼女たちは部族を維持してきたのである。

ところがある日、族長の来姫が古い罠によって命を落としてしまう。
次の族長になるのは誰なのだろう？

柚姫は、いつか族長になったら、水姫を最初の「花嫁」にすると約束していた。
水姫はきっとそうなると信じていた。

しかし運命の女神は、二人の願いを聞き届けてはくれなかったようだ……。

●解説

これも単行本『恥臭』に収録された短編です。このサイトの主旨にもよく合うと思うので、単品販売をすることにしました。古い作品ですが、未読の方はぜひこの機会に読んでみて下さいね。

嗜好としては「ふたなり」「体格逆転」となります。読み方によっては「変化」「急成長」も楽しめるかもしれません。

ただし、この作品はストーリーが中心となっていて、あまりエロシーンは多くありません。そちらは期待しないで下さい。
時代ですね。昔はそういう作品が求められるケースもわりとありました。

というわけでいろいろ未消化な部分のある作品ですが。とはいえ個人的にはけっこうこだわりのあるネタを描いていますので。
もし気に入って下さる方がいらっしゃいましたら、この上なく光栄であります～。