ドドドッという音が近づいてくる。 　聞きなれない音でその物体が視界に入り理解する。 「馬車？」 　五、六台ほどの馬車の列が猛烈な勢いで道なき道を駆けている。 　そしてその後ろ...

「坊ぼん、背中流してやるき」 　風呂場で体を洗ってると、母ちゃんが引き戸を開けて入ってくる。 「ちょっ!!　勝手に入って来るなよ!!」 　後ろを振り向くと、母が真っ裸で仁王立ち...

豪快な性格のうちの母ちゃん、世話焼きでお節介で、息子に過干渉。 　そんな母に俺はうんざり。 　そんな肝っ玉母ちゃんと反抗期丸出しの俺が、突然異世界に転移してしまう。 　モンスターに襲われる丸腰の...

「ガハハハッ!!　和夫くんこっちじゃ青空の下でやろう」 　青い夏空が農園をさわやかに包む。 　その真下を上半身はＴシャツ、下半身はむき出しで性器を晒した幼さを残す青年が棒立ちでいる。 ...

夏は仕事が終わっても太陽が頑張り町を照らす。 　作業場で作業用の器具を片付け、二人は終業の挨拶をする。 「お疲れ様でした」 「お疲れさん、汗で服が濡れてるじゃろ風呂に入って着替えていき...

「ガハハハッ!!　んじゃ出すけぇ、撮っとき」 　農園の隣の山林の中、土の上を雑草と折れた枝が敷かれている。 　土が抉れ窪みになった場所に中年女性が下半身を剥き出してしゃがみ性器を露わにし...

太陽が夏の始まりを告げる様に熱と光を地に注ぐ。 「ふぅ休憩じゃ、暑い暑い」 　農作業に従事する中年女性がリンゴの木々の中、赤いネルシャツの襟を掴みパタパタと上下に揺らし空気を湿った胸...

野口家は大きい平屋の家で屋根には瓦を敷いている。 　隣には元々納屋だった建物がリンゴの選別や箱詰めをする作業所に改築されている。 　８畳間の茶の間に幼さの残る二十台の青年と見た目は３０前後に...

「駅まで送れなくてすまんな」 「いいよ」 「そんじゃ達者でな」 「……うん」 　春彦が家の前に走る町道を歩きバス停へ向かう。 「……さぁ仕事じゃ」 　少しの寂しさを胸に抱...

春彦が回転ずしがええ言うから数年ぶりに来てびっくりする……。 「進化しすぎじゃぁ使い方が分からん」 「あはは、大丈夫僕が注文するから」 「流れてるやつ取らんのか」 「注文した方が欲し...

春彦が風呂に入ってる時慌てて作業場へ向かいパソコンを起動させる。 　パスワードを打ち込みＤＶＤトレイの開閉ボタンを押す。 「あぁ、またやっちまった……」 　ＤＶＤがここにも入れたま...

夕食に春彦の好物を作りテーブルに並べる。 　春彦の生唾を飲み込む音が聞こえ嬉しくなる。 「うまそう、やっぱり実家に帰りたいよ僕……」 　ホームシックにでもなったのか帰ってきてからず...

「ガハハッ!!　和夫くん本当人見知りじゃな」 「……ちゃんと直します」 　和夫くんが照れ笑いを浮かべ申し訳なさそーにぺこりと頭を下げる。 「ええんじゃよ……無理に直さんで」 ...

「なんじゃ？　出かけとったんか？」 「うん」 　家に帰ると母が台所に立ち昼食を作っている。 「今日も母さん弁当持って農園で食べるから一人で食べてろ」 「うん」 　母さんが料...

帰郷して５日目、母に地元に就職することを説得したが聞き入れてくれない。 　何事もなく毎日が過ぎていく、バイトを一週間も休んだから、お店は大忙しだろう。 　田舎に居れるのは明日だけか……。 ...

「ただいまぁ」 　母さんの大声が家じゅうに響く。 「ふぁぁ暑い暑い、汗でビショビショじゃ」 　ビショビショと言った後、小さい声でぼそぼそと話す。 　聞き取れない。 　浴室へ...

寝室に入り、祖母の代から使われている茶黒の桐タンスの前に立つ。 　自分の心臓を音が聞こえてくる。 　上から順に開けていく……中には衣服が綺麗に畳まれて収納されている。 　次は隣のもう一つの...

母さん日焼け止めのクリームを塗り、赤いチェックのネルシャツに太ももにポケットが付いた灰色の作業ズボンを履いて農園へ向かう。 「母さん俺も手伝うよ、農家の仕事忘れちゃうよ」 「やらんでええ...

風呂から上がり部屋に入る。ベットにダイブしそのまま天井を仰ぎ呆ける。 　ベッドのヘッドボードについた本棚に置いてあるＤＶＤを手を伸ばして取る。 　ケースに張られたシールには。 ――爆乳...

「食器洗い僕も手伝うよ」 「あんたは休んどき長旅でつかれたじゃろ」 　母さんは優しく微笑み、綺麗にたいらげたソースや醤油がついた食器を台所へ運ぶ。 　母さんが鼻歌を歌いながらお尻を振り...