「ふふふ……。　まぁ天子候補と結びつきを強めるのは政治的に正しいですわ」 　冷静さを取り戻した王が足を組み顎に手を当て熟考している。 「王様なんて仕事は人気を取ることがほぼすべてと言...

「それより母ちゃん、シスターたちを助けないと」 　俺は玉座から仁王立ちする母へ言う。 「そうじゃ、今日捕まえた天鳥教の方たちを開放してくれ」 「あぁ……私は別にいいんですけど……裁...

「ほら‼　おまぁはもっと端に行け、うちの坊が座れんじゃろ‼」 「こら‼　ここは王しか座れないのよ!!」 「他に座る所がないなんじゃ!!」 　母ちゃんが俺を無理やり玉座に座らせる。 　...

バシィ!! 　ガシッ!! 　ヒュン!! 　ドダン!! 　ガッガッ!! 　ドドーン!! 　肉と肉。 　骨と骨。 　石床と靴底。 　気合と気合。 　それと謎の超常の力。 　...

「フフフ、いい加減にしてくださいまし‼」 　体を震わせながらゆっくりと起き上がる眩い光の王。 「今日こそぶっ倒しますわ‼」 　王が金色の刺繍を施したマントを脱ぎ棄て白銀の薄いワ...

中心の木の数歩右に歩くと母ちゃんは神木の上で地団駄を踏むみたいに足を踏み鳴らす。 「開けろぉ、ユリシアー!!」 　そう言うと足場が突然無くなる。 「うわぁぁぁぁぁぁぁ!!」 ...

「うわぁぁぁぁぁぁぁすげぇ」 　俺は最高の絶景を見ながら感動の叫びを放つ。 　エルフの森の果てまで見える。 　緑あふれる豊かな土地がまだ存在している。 「すっげぇぇぇぇぇ!!」 ...

「降りてこい!!」 　後頭部に怒声がバシバシとぶつけられる。 　母ちゃんは「わはは!!」と笑いながらキリガイの様な螺旋状の巨木をひょいひょいと登って行く。 　俺は母ちゃんの背中に涙目に...

「なぜこの地にいる？」 　鋭い切れ長の目に切っ先みたいな切れそうな尖った鼻、真っ白い澄んだ肌、金色の長髪をポニーテールにした美女……。 　特徴的なのは長い長い耳。 　耳にはいくつもピア...

「ぷはぁ、うまい、ごっちそうさま」 「わはは、おそまつさま」 　朝食を食べ終わると、母ちゃんが俺の口を〇〇に開き、巾着から歯ブラシを取り出す。 「うががが？（歯ブラシとかあるの？）...

ちゅちゅ、ぴちゃぴちゃ、ちゅるちゅる。 　母ちゃんが俺の唇を貪る様に吸う。 「はぁん、坊ぼん♥　坊ぼん♥」 　俺の舌も俺の唾液もおいしそうに食べる。 「わたしの坊や♥」 ...

陽が落ち闇に染まる前に夜を越える準備を始める。 　馬を休ませ、俺と母ちゃん、シスター数人は焚き火用の落ち葉や木の枝を拾いに近くの森林に向かう。 　一夜分の枝を抱え森を出ようと光の射す方向...

「坊ぼん!!　無事か!?」 　母ちゃんが勢いよく馬車のキャビン内に入って来る。 「ここは、まずいわ。　すぐ村を出んと!!」 　シスター達も息急き切り転がるように中に入る。 ...

「村から黒い煙が……」 　丘から村を見下ろすとモクモクと黒煙が吹き出ている。 「これは……暗黒呪詛ラフレアン・ベル!?」 「ここは結界の中よ!!」　 　シスター達が動揺し...

大きい壁が見えてくる。 「この関所を越えれば、もう魔物はいないわ」 「ここからは神の使いがもたらした浄化結界の中になる」 　マザーアリサが説明してくれる。 「あたしと撞太...

「ゲホッゲホッ」 　風邪かな……。 「ん!?　大丈夫かい？　坊ぼん」 　マザーアリサとシスター達が目配せする。 「鐘子きょうこさん……少し御者席ぎょしゃせきの方に行ってて...

「よっと」 母ちゃんが倒れた馬車を起こす。 「おおっ!!」 　シスター達の歓声と拍手が起こる。 　逃げた馬を捕まえ、馬車に繋ぎ、シスター一行は出発の準備が整う。 　俺達...

「来い!!」 　俺とマザーアリサが身構える。 「足を狙うのよ」 「うん」 　ハアハア……吐息が、呼吸が乱れる。 　クソッ!!　ビビってんじゃねぇ俺!! 　隊列が一番後...

「おばさんたち、逃げて!!」 「坊やを残して行けないわ!!」 「私達も、坊やくらいの〇〇がいるのよ……」 「みんな!!武器よ!!」 　一人の女性が武器を抱え仲間に渡す。　...

「日曜だってのに」 　急に休日出勤になり仕事に行った母親。 『昼には終わるから昼食ちゅうしょくは親子水入らずで外食しよう』 　ーーとメールが来た。 　適当にコンビ二で買うからいい...